World bankのDoing business 2015 SUB-SAHARAN AFRICA によると、ガーナのビジネスのし易さは、モーリシャス(28位)南アフリカ(43位)ルワンダ(46位)に続き、世界で70位で4番目にビジネスがし易い国だという。
世界的に見て、70位が高いのか低いのかイメージがつきにくいと思うが、このランキングで見ると、1位はシンガポールで、日本は29位、ガーナより低ランクなのが、ベトナムの78位、中国の90位となっている。
う〜ん、まあ、こんなもんなのかなあ・・・?
感覚的には、2013年上半期以前だったら、妥当な気がするけど、現在は、もっと低いかなあ。アフリカでは民主的国家で、法整備は旧宗国イギリスにならって一応揃っており、エネルギー事情もそれほど悪くはなかったし(停電なんて月1、2回2、3時間ぐらいだった)、ビジネスの初期投資コストも高くはなかった。
ただし、2013年10月30日に発布されたGIPC Act 865の改正により、これまで、第28条、外国人の投資及び商業活動が許可される分野における条件として、ガーナ人とのジョイントベンチャーの場合、最低資本金5万米ドル以上、100%外国資本の場合、最低投資金額は20万米ドルだったものが、この新改正法下では、ガーナ人とのジョイントベンチャーの場合、最低資本金20万米ドル、100%外国資本の場合、50万米ドルに上昇した。
そして、会社形態に関わらず、All enterprise 全ての企業が、GIPC(Ghana Investment Promotion Center) に登録しなくてはならなくなった。(以前は、外国資本が入った場合のみ)
移行するまである程度時間的猶予があって良いと思うが、知らせが通知されると同時に、即、改正法案が施行され、行政側も弁護士も誰もが「正確な手続き」がよくわからないという混乱ぶりだった。
これを受け、ガーナでは、Register General という登記を行う機関で、まず、会社登記を行い、会社登記関連の書類を発行してもらい、それを元に銀行口座開設を行い、半年以内にGIPCにて登録を行うという流れがスタンダードになった。
このGhana Investment Promotion Centerは、ガーナへの投資を促進する大統領直下機関で、外国人が投資を行う際の窓口だった。アフリカの中ではオープンな投資環境で外国からの投資が行いやすいというのが売りで、外国人とガーナ人は同等の権利を有し、登録すると活動が守られると謳っている。オイルマネーによる外国資本流入が活発になり、最低投資金額をつり上げても資本は流入するという強気な見通しのもと、もっと外国資本からの税収を上げようということで、外国企業の初期コストが大幅に上昇することになった。
また、経済情勢の悪化を受けたせいか、税制も2015年7月頃に急遽変更になった。小さな会社やスタートアップ企業(一定の収入以下)は、small taxpayers と分類され3%だったのに、17.5%に突如上がり、規定のVAT invoice、消費税請求書を商品やサービス対価に対して発行しなければならなくなった。
1ヶ月間だけ猶予期間があり、関連書類提出が義務付けられた。書類提出が遅れると、GHS500 +GHS10/遅延1日あたりの罰金が科される。(現在1ドル=3.8セディ程度)そして、訪問時に証明書の提示ができない場合には、刑事告訴され、Daily Graphicという新聞上でも公表されるという。
3%のつもりで計算してビジネスをしていて、急に17.5%になったら、とんだ痛手だ。
しかし、おかしなことに、これをある特定の日から適用することにしたため、その日の前にVAT invoicesを登録していた会社は、未だに3%のままなのである。そして、登録しないと罰金がかかるので強制登録になった新しい会社は規模に関わらず、17.5%が課税されているのだ。
そして、さらにおかしいことは、3%を支払っている会社は、Small taxpayersのはずなのに、その中には随分small taxpayersの枠を大きく超えた成熟した企業が含まれているということだ。現在は、新しい会社は大きさに関係なく、一律17.5%の付加価値税を払わなくてはならないのに。
大きな会社のトップは、大抵、政治家の親戚だ。政治の黒い匂いがプンプンする。(まあ、どこの国もそれは一緒か・・・)
ガーナ人は、大らかで争いが嫌いなので、暴動になったりはしない。「そろそろ大統領も変わるから、それまでの我慢」が、市民の合言葉になりつつある。
まあ、いきなり、会社を国有化したベネズエラに比べたら、ずっと民主的だが、あまりに不公平な、急な政策の変更は、信頼を失い、海外からの投資も停滞させてしまうだろう。