働き方改革を政治主導で進めようとしているようだけれども、
プレミアムフライデーのような日を作ったって、祝日を増やしたって、
そんなの余計に働きにくくなるだけで、変わるわけがない。
なぜなら、働きにくいのは、システムではなく、職場(個人の集合体)が、原因なのだから。
働き方改革の話になると、思い出す話がある。
起業してからの、とある経営者の集まる異業種交流会でのこと。
先輩経営者として、その異業種交流会の主催会社の社長があいさつをした。
「経営者にとって、金か命か、どっちが大事か?」
と、切り出したのだ。その時点で、
は?
と、退出しようかと思うほど気分が悪くなった。
「金がないと会社が回らない。だから、経営者は、自分の命より金が大事だと言って欲しい」
という話で、キャッシュの重要性を説く比喩だろうけれども、
私に言わせれば、タチの悪い比喩だ。
心血注いだ会社を、経営者なら誰も潰したくない。
社員を路頭に迷わせたくない。
顧客や債務者への責任もある。
でもね、
会社が潰れたら社員は困るけど、仕事は他にもあるんだよ。
生きていれば、また挑戦できるけど、死んだら終わりなんだよ。
だから、会社倒産して、首を吊る経営者が出るんだよ。
「命より金だ」なんて、比喩でも平気で、恥ずかしげもなく人前で言うような人がいるから、
生きづらい人が多いんだよ、この国は。
他の国では、考えられない。
責任感という美徳ではなく、病的だ。
でも、よくよく考えてみると、恐ろしいことに、
気づかぬうちに、この異様なまでの責任感に支配されていた時が、
私にもあったように思うのだ。
それじゃあ、生きていること自体が、辛くなってしまうよね。