そもそも、大腸菌群って何なのさ?
と、詳しく調べてみると、
“大腸菌群は、人や動物の腸内だけではなく、
自然環境に広く存在している菌で、空気中にも存在する”
ダメじゃん!空気中にも存在するなら、どうしようもないじゃん!
と、思わず、突っ込む。
大腸菌群は、菌の総称なので、食中毒にもならない菌も含まれている。
ただ、大腸菌(糞便由来の菌)のような食中毒の原因になりうる菌も含まれている可能性があるので、食品には付いていない方が良いということなのだ。
大腸菌群は、熱に弱く、75度1分以上の加熱で殺菌できる
熱湯を注いだら、OKという感じなのでお茶にするなら実質的には問題にならなそうなレベルだ。
そのため、加熱後の食品から大腸菌群が発見されると、
加熱条件(温度や時間)に問題はなかったのか?
加熱後の取り扱いは、悪くなかったのか?
という工程の異常を気をつける指標になっている。
従って、加工食品(パッケージに入っているような食品)には、大腸菌群は陰性でなければいけないと法律で決められているということなんですね。
加熱していない食材、野菜などには、大腸菌群が付いていても不思議ではなく、つまり、大腸菌群が検出されたからといって、不潔だとは言えず、さらに安全性を確認する場合には、大腸菌についても検査をする必要がある。
ただ、非加熱の食材でも、大腸菌群がたくさん見つかるということは、洗浄が不十分だった可能性などがある。
つまり、土つきのオーガニック野菜などというと、とても安全な食品のようなイメージがあるが、
実は、オーガニックで栽培されたものほど、付随する菌の数は多く、
生で食すると食中毒に繋がる可能性は、農薬を使われた野菜より高い
ただ、本来、菌はどこにでもあって、たとえ食材が、大腸菌を含んでいたとしても、本人の免疫力が高ければ、問題ないわけだ。
子供やお年寄りに食中毒の犠牲者が多いのは、免疫力が低いから。
日本ほど、衛生的な国はないと思うけれども、食中毒問題が頻繁に発生しているのは、無菌状態の食べ物ばかり食べ、それに慣れ、菌に対する抵抗力がなくなっているせいではないかと思う。
「そりゃそうよねえ。私が子供の頃なんて、人糞などを肥料にして野菜を育てていたんだから。だから、生で食べる習慣ってなかったのよ。パンとかだって、ちょっとハジが腐ってても、その部分だけ取り除いて食べたりしていたもの。今では、捨てちゃうでしょ」
と、母が言う。
ガーナでは、「食あたりかも」はあっても、食中毒で人が死ぬなんて聞いたことがない。
彼らの食事は、何時間も煮込むものが基本だし、生で野菜を食べる習慣はない。
でも、乳幼児からお年寄りまで、誰もが安心して栄養補給できる食品にしたいから、衛生基準は重要だ。
ガーナの生産者と協議したところ、
蒸気殺菌したものも、しないものも、細菌検査の結果に差異があまり見られなかったことから、
殺菌工程で空中に舞うため、大気中の物質を吸着することを考慮し、蒸気殺菌を施さないことにしたという。
殺菌して、殺菌できてなかったなら、殺菌じゃないじゃん。
どうしようもないじゃん><
と、思ったが、何だ、そうだったのかと(いや、言ってくれよと思いつつ)、
それならば、出てしまっても理にかなっていると、少しホッとする。
そうして、ロットナンバーやら、バッチナンバー情報を交わし、
「このバッチが大丈夫なら、パッキング時の問題で、これがダメなら、もう一緒に生産した全ロットが問題じゃない?」と、なんだか探偵のように、推理しあいながら、どのバッチを再検査するか話し合う。
更に詳しく、今回輸入分の検査を第三者機関で行ったところ、大腸菌群は陽性だが、大腸菌は陰性だということがわかった。
つまり、初歩的な衛生管理不足(手洗いをしていないとか)ではなかったということだ。
その前週に作ったロットに関しては、検査済みで、検査結果を見ても優良そのもの。
そのロットをくれていたらねえ、こんな問題にならなかったのに><
って、感じだが、外部の専門家にも大腸菌群対策について相談し、再発防止策を練るという。
また、現在、インハウスで検査が行える設備を整えているところで、
いずれ、いちいち時間のかかる外部機関に出さなくて済むので、全ロット検査が可能になるという。
こういうとき、本当に日本は、ビジネスインフラが整っていて、やりやすいなと、ガーナで何かをする難しさを心底実感する。
日本では、いくらでも外部の検査機関があり、きちんと、何日で結果が出ると約束通りに結果を届けてくれるが、ガーナでは、そうはいかないからだ。
共同創業者が二人とも、米国のアイビーリーグを卒業しており、米国で資金調達ができたため、こうした設備の設置などが可能で、着々と体制を整えているが、他のガーナの起業家はこのような資金調達や外部専門家へのアクセスが限られ、事業の拡大が難しい。
「本当に申し訳ない。お恥ずかしい」と言ってくれ(こういうときに、”Oh”だけで、”I’m sorry to hear that” とも言わない人が多いので、私としてはsorry が聞けるだけでも有り難い)、代わりに、検査済みのものを提供してくれることになった。
良かったよぉ〜。信頼を裏切らない対応をしてくれて
昔は、こんなとき、まず最初に、つい怒りをぶつけたが、最近は、(いや、今回はその元気がなかったというのもあるが)怒らず、
もう困っているの〜。助けて〜〜
路線でいく。
人は、怒りをぶつけられると、ディフェンシブになるものだし、責任を転嫁しがちで、怒っても何にもならないが、困ってる人は見捨てづらいからだ。
こうして、次は、大丈夫だろうと、時間はかかるかもしれないが、商品化できるだろうと判断した。
まあ、日本の無菌状態の食品工場でだって、たまに問題が起きてリコールになったりするものね。
そういうケースが運悪く当たっちゃったということかな。
でも、市場に出る前に、きちんとチェックしておいて良かった。
これを教訓に、彼らの品質管理がより向上するだろうから、お互いに勉強代と考えよう。
出口が見えない、見えないだろうと思った状態から、なんとか落ち着いて、見通しが立てられるようになったので、どうお客さまへ対応をしたら良いか考えられる段階に至ったのでした。