「俺の生まれた場所がガーナじゃなかったら、どんなチャンスがあったのかな。どんな風に待遇されてたのかな。」
とポツリと心境を呟くパートナーを見て、
生まれた場所によって自分の持っている可能性を広げる機会を得られないという事は残酷に、不公平に感じた。可哀想に感じた訳でもなく、申し訳なく感じた訳でもなく、その事実がそのまま腹の底にズドンと落ちて来た。
ガーナで頑張る日本人の友人の投稿に、ああと、自分も同じ想いを抱いたときのことを思い出した。
そう、可哀想とか、申し訳ないとかではなく、その生まれた場所によって可能性が狭まってしまうというその事実の重さを感じたときのことを。
残酷なことに、この世界は、人生は、公平ではない。
不公平なのだ。
生まれたときから、何の不自由もなく、愛情をいっぱいに受け、傷みも知らず(失恋ぐらいがいいとこか)、大人になっていく子供もいれば、愛を知らずにゴミだめのような場所で成長しなくてはならない子供もいる。
この不公平さは、なくなることはない。
でも、だからこそ、
Life is worth fighting for
戦う価値のあるものなのだ。
私は、アンフェアなのは嫌いだ。
一人では何もできないけれど、一緒にやれば、少しはチャンスが広がるのではないか、そう思って飛び込んだのが、ガーナだった。
学生の頃に、ALS(アイス・バケツ・チャレンジで注目された)を発症し、余命2年と言われながら、急に進行が遅まり発症から50年以上経っても健在で、「ブラックホールの特異点定理」を発表した「車椅子の天才」と呼ばれるスティーヴン・ホーキング博士は、こう述べている。
One has to be grown up enough to realize that life is not fair.
人は、人生が公平ではないことを悟れるくらいに成長しなくてはならない。
You just have to do the best you can in the situation you are in.
自分が置かれてる状況の中で、ただ最善を尽くさなきゃならない。
I try to lead as normal a life as possible, and not regret the things it prevents me from doing.
人生は、出来ることに集中することであり、出来ないことを悔やむものではない。
私がガーナで出会ったのは、この英知を携えた人ばかりで、ただただ腐らず、自分の置かれた状況で最善を尽くしていた。
たぶん、そこが、私のガーナの、ガーナ人の好きなところなのだと思う。
そして、その経験のおかげで、私も、31歳で癌にかかるという予期せぬ出来事にも、「なんで私が」という感情に沈まずに済んだのだと思う。
だって、それが人生だから。