「どうしましょうか?弊社で、焙煎ならできるかと思いますが・・・」
と、言われ、グルグルと思考が回る。
あ〜、私、ポールのサンプルは検査しそびれているな・・・
ヨーロッパに出してるぐらいだからって油断したなあ。甘かったなあ。
でも、ロットが違えば、結果も違うからなぁ、やったら出ていたかな。
「焙煎したら、色も味も変わりますよね?」
「そうですね。茶色くなるでしょうし、味もかなり変わると思います」
焙煎したら、殺菌もできるし出荷できるけど、でも、非加熱のものってお客さんに約束したしなあ。
そっか、だから、焙煎したモリンガの葉ばかりお茶として流通しているんだな。
こういうリスクを取らずにすむように。
とりあえず、焙煎する場合の見積もりを出してもらうことにした。
いつものパートナーのところのサンプルは、完璧だったから、そっちを輸入するか。
でも、またテスト結果がダメだったらどうしよ〜。
そこで、ちょっと探りを入れてみると、
「この前のサンプル、日本で細菌検査したら、細菌数300以下の超優秀な結果で工場の人も驚いていたんだけれど、蒸気殺菌しているの?」
「ありがとう。そうなんだよ。品質改良に取り組んでいたんだよ。蒸気殺菌して、袋はUV殺菌しているよ」
!!!
蒸気殺菌は、風味や味を損ねず、生の味わいを活かしながら殺菌する。
素晴らしい〜。これなら大丈夫だわ
よし、じゃあ、こっちは、焙煎して、2種類商品を出そう!
焙煎したパウダーは、味わったことがない。美味しいかもしれないし。
新しい商品を作るのは、費用がかかる。
一度に2つ商品化するのは予定外だったので痛い出費だけれども、原料を無駄にするより良い。
パッケージは同じもので、「ロースト」とシール対応すれば良いだろう。
そうだ、ピンチをチャンスにしなくては!
工場変更だって、焦ったけど、結果的には、もっと良い工場が見つかったではないか!
ところが、
「すみません。粒子が細くて、焙煎しようにも舞ってしまって、できませんでした」
・・・チーーン
そこから、焙煎なり、殺菌なりしてくれるサービスを提供している工場を探したが、数トンとかならいざ知れず、この少量にサービスしてくれる工場なんて皆無だった。
ガーナの会社は、どこもキャッシュフローギリギリで回しているので、入ってきた売り上げは、右から左へ支払に流れていく。
新しい商品に交換するぐらいはできても、弁済するのは難しいだろう。
それに、ガーナからの輸送は、運送費がかかる。
交換してもらっても、同じ可能性もあるから、そうなると、運送料ばかりが、そのまま損失になってしまう。
う〜ん、熱入れれば1分で飛ぶんでしょ。
こうなったら、焼き菓子でも作って売るかなあ・・・
モリンガを知ってもらうキッカケが多くなるかもしれないし・・・
まあ、とりあえず、どうするかは後で考えよう。
もう約束していた7月末になってしまうので、お客さんに遅れてしまう旨を速やかに謝罪、連絡して、他の商品と一緒に注文された方には、他の商品を先にお届けして、新しいモリンガパウダーを輸入することにしよう!